アニマルウェルフェアの始まり・歴史メモ
アニマルウェルフェアの始まり
1964年にルース・ ハリソンの著書『アニマル・マシーン』がイギリスで出版された。ハリソンは機械化された畜舎で家畜を密飼いする現代の factory farming(工場畜産)の実態、現代畜産が経済効率追及のため家畜を単なる「食肉変換機械」として残酷に取り扱っていることを告発した。
https://core.ac.uk/download/pdf/291691655.pdf
『アニマル・マシーン』はイギリスの世論に大きな影響を及ぼし、政府は動物学者の F. W. ロジャーズ・ブランベルを長とする委員会を設置。提出された『ブランベル・レポート』から世界のアニマルウェルフェア畜産の原則は始まったと言われている。そのレポートは世界獣医学協会やOIEの基本原則になった。
アニマルウェルフェアの基本骨格は「5 つの自由」と「3つのR」からなる。
ブランベル・レポートと「5 つの自由」
1965 年、英国議会に 提出された「集約畜産システムにおける家畜の福祉に関 する調査委員会報告書」のことを指す。内容の洗練は英国畜産動物AW専門委員会に引き継がれ、1992 年に提案された要素が国際的共通認識になっている。動物の「5 つの自由」が記載されている。
①「飢えと渇きからの自由」(健康と活力のために必要な新鮮な水と飼料の給与)
②「不快からの自由」(畜舎や快適な休息場などの適切な飼養環境の整備)
③「痛み、傷、病気からの自由」(予防あるいは救急診察および救急処置)
④「正常行動発現の自由」(十分な空間、適切な施設、同種の仲間の存在)
⑤「恐怖や悲しみからの自由」(心理的な苦しみを避ける飼養環境の確保および適切な待遇)
動物実験における「3 つの R」
1954 年,英国にある AW 大学連合 (UFAW)という団体が動物学者ウィリアム・ラッセルと微生物学者レックス・バーチに、人道的動物実験について検討を依頼し、そ れに対して彼らは、1959 年に「人道的動物実験手法の 原則」を著し、答申したもの。
Replacement(代替)・・・動物以外の方法に替える
Reduction(削減)・・・動物の数を減らす
Refinement(苦痛軽減)・・・できる限り痛みを与えない
http://animalwelfare.jp/wp-content/uploads/2017/09/rakunojournal_201702_03.pdf